西紀ダムの早期完成推進を求める意見書
提案説明
議席番号1番、森本富夫でございます。
ただ今議題となりました、「西紀ダムの早期完成推進を求める意見書」提出に関し、提案議員を代表して、提案理由の説明をさせていただきます。
西紀ダムは、旧西紀町栗柄地区内を流れる「滝の尻川」に、生活貯水池として建設しようとするものであり、このダムにより、洪水調整、水道水の水源確保を行なうと共に、農業用水の安定化及び河川環境保全のための流量を、安定確保しようとするものであります。
必要性については、過去の私や、恒田議員の一般質問、また、今年10月4日の議員研修会において、十分に認識いただいていると思いますが、利水面についてのみ触れさせていただきます。
旧西紀町における上水道の沿革は、まさに水源確保との戦いであります。昭和29年に篠山町営上水道よりの給水で、南河内村と北河内村の一部に上水道が初めて供用開始されました。その後、昭和46年に大山簡易水道からの給水をいただき、そして、昭和51年に現在の栗柄水源の確保、その後、佐仲ダム構築に伴う、四王寺池改修による水源確保により、昭和62年ようやく西紀中地区簡易水道事業として、自前の水源にて、旧西紀町の中地区・南地区に安定給水出来るように成りました。
しかし、昭和60年代に入り、宅地開発による転入者の増加や、企業の進出、高速道路のサービスエリアへの給水、また、下水道整備による水需要の増加により、地元との合意水量では、賄いきれなくなってしまいました。栗柄地下水水源に多く依存した結果、周辺の住宅の井戸水は枯れあがり、夏場の渇水期には近くを流れる宮田川支流の水量を吸い取ってしまい、農地を潤す水が確保できない状態となってしまったのです。つまり、水源水を安定供給しながら、水源地元の皆様においては、上水道以外の生活用水や農業用水において、長きにわたり、多大なご迷惑をお掛けしてきたのです。
ダム建設により、計画給水量に見合う水源の確保、そして、安全・安心なおいしい水の安定供給、そのことが西紀中簡易水道事業エリア内全ての住民の願いであると共に、栗柄地区住民の皆様への迷惑を解決する最良の方策であると、旧西紀町時代に判断され、平成4年度から、予備調整を開始し、平成6年度に国の生活貯水池整備事業の事業採択を受け、篠山市への合併を経て、現在に至っているものであります。
平成15年度には、用地収用も完了し、平成16年度から替道路工事に着手され、当初予定では平成23年度完成予定でありましたが、保安林解除等に時間を要し、事業は遅々として進まず、現在の予定では、平成25年度事業完了予定とされております。遅々として進まない事業への対応と、収用後長年放置され、ここを格好の住まいとする鹿等の有害鳥獣対策に、栗柄自治会関係者始め、近隣農家の皆様の心痛は、まさに限度を超えようとしています。
また、篠山市としても、平成12年度の県とのダム建設基本協定に基づくダム負担金や、ダム完成を前提とした栗柄浄水場の改良・拡張工事を始め、当初計画に基づき送水・配水施設の整備を、議員の皆様のご理解を得ながら進め、平成21年度までに14.2億円(進捗率89%)を執行してまいりました。
民主党政権が打ち出した「ダム不要論」に近い、ダム事業見直しにより、道府県が事業主体のダム事業についても、再検討が求められ、西紀ダムにおいても、伊藤丹波県民局長を座長とする西紀ダム検討会議が設置され、治水(洪水調整)利水(新規利水)利水(流水の正常な機能の維持)の各目的別に、可能な複数の代替案の抽出や、各代替案にかかるコスト、実現性、環境への影響等の検討、現行計画との比較が熱心に行なわれました。
昨日の第4回検討会議の結果として『治水対策、新規利水、流水の正常な機能の維持、のそれぞれの目的において、現行計画と抽出した複数の代替案に対し、目的別の総合評価を行なった結果、いずれの目的においても「現行計画(西紀ダム+河川改修)」が最も優れていた。このことから「現行計画(西紀ダム+河川改修)」が最も有効な対策である』との総合的な評価が出されました。
適切妥当な総合的評価が出たことに安堵すると共に、パブリックコメントを経て作成される、対応方針案にも反映されること、そして方針案を受けた知事や国の責任者が、早期完成推進に理解を示していただくことを、心から願うものであります。
今更、ダム事業が中止となれば、西紀中簡易水道事業、またダム建設地の栗柄地区、そして篠山市水道事業会計においては、多大なる混乱と損害が生じ、代替による水源確保には新たな投資が必要となり、水道料金の値上げにつながります。
以上、利水、治水の両面から、西紀ダムは篠山市民の生活において、「人」の暮らしを守るためには、必要不可欠な施設であり、意見書を提出し、現行計画通りの早期完成を強く要望するものであります。
なお意見書内容は、お手元に配布しておりますとおりであります。議員各位におかれましては、お目通しいただき、ご賛同いただきますようお願い申し上げ、提案理由の説明といたします。