3:調査の概要

 上勝町の彩事業、また馬路村の柚子を活かした村おこしは、地域特産を生かした事業として、全国

的に有名でありまさに先駆的な町村である。

 基幹産業が農業であり、本年2月に農都宣言を行う篠山市にとっても大いに参考となり、篠山が持

つ地域特産の更なる振興と地域活性化に繋ぎたく今回の調査を行った。

 

①徳島県 上勝町(彩事業、ごみゼロ・ウェイスト、について)

 上勝町は、徳島市から西へ四国山脈の山間に40km車で50分程、町境の3つのトンネルを越したと

ころに位置しています。南北両方から険しい山がせまり、その底には勝浦川が流れ、山腹中段に走る

幹線沿いにわずかな平地と階段状の田畑が点在する町である。過疎と高齢化の同時進行により、現在(

平成20年11月)の人口は2,002人、面積109,68平方km、高齢化率49,7%の四国で1番小さい町である。

 

〔彩事業〕

 現在は町の第3セクター「()いろどり」の副社長、横石知二氏が昭和61年に開発した「つまも

の」商品の事業である。スタート時4名であった出荷者が現在は200名を超し、売上高は2億6,000

円に達し、高額出荷者は700万円以上になり、商品アイテムは300種を超えている。出荷者は高齢者が

中心で、とにかく高齢者が元気であり、国民健康保険の掛金は四国で一番安く、高齢者で寝たきりの

方は3人のみであるとのこと。彩事業や地域特産事業の展開で、各戸の所得と地域の魅力が増えたこと

により、UIターン者が増加し高齢化率が下がりつつあるとのことでした。

 彩事業は、上勝町農協営農指導員であった横石氏の、英知と努力によるものであるといっても過言

ではなく、地域特産を活かしてのまちおこし地域再生についての講演は、まさに衝撃的な感動を受け

た。

 

◎講演の趣旨

・新しい地域特産探しに大阪の市場に来ていたおりの昼食時、隣の席の若い女性がつまものの

モミジの葉を大変喜ぶ姿を見て発案した。

・地域に誇りがない・・・・・・儲からない、資源がないと思い込む。

               ・・・・・・子供が地元に残らない、親が地元に残さない(過疎・高齢化の進行)

・企業誘致の可能性がない・・・地域資源を活かした地域資源ビジネスを起こそう。

・地域資源とは・・・・・・・・足元にあり、地元が得意なもの、好()齢者も地域資源

・事業展開 ・・・・・・・・・逃げるな、諦めるな、マイナス思考ではなくプラス思考で自ら

             積極的に仕掛けていく。

・オンリーワン・・・・・・・常に地域の個性を大切にしながらこだわりを持ち、地域づくりの場面を

                           考え作り出していく。

    ()齢者・・・・・・・福祉でお地蔵様にするのではなく、生きる・考える・働く喜び

        こそが、最良の高齢者福祉である。

   信頼関係・・・・・・・プレーヤの住民と、仕掛け人(行政・農協・NPO)プロデューサーとの、

                          信頼・協力関係こそが成功の大前提。

 

〔ごみゼロ・ウェイスト〕

 旧ごみ焼却施設が、ダイオキシン問題で停止せざるを得なくなり、また埋め立てゴミ処理場も、

環境問題上で閉鎖することとなった。広域ごみ処理施設の建設の目処が立たない中、建設に伴う多額の

負担金や将来の維持負担金による町財政困窮、京都議定書に基づく資源循環型社会の構築に対する議

論を経て、平成15年9月19日に「上勝町ごみゼロ(ゼロ・ウェイスト)宣言」及び、「上勝町ごみゼ

ロ行動宣言」をおこない、2020年までに焼却・埋め立てに頼らないごみゼロをめざし実践活動に

取り組まれ、リサイクル率約80%を達成されている。

◎実践活動

・ごみになる物を、買わない、使わない、

・生産段階から、処理に困らない製品を作ることを求める。

・日本国内の他の市町村においても、同様の目標を定め相互ネットワーク構築による目標達成への協力

 体制が今後強まることを願い、積極的に情報交換を行う。

 

・生ごみは回収せず、全量各家庭において堆肥化し土に還元する。

(コンポスト・家庭用生ごみ処理機購入補助)

 

・リサイクル、リユースの推進による焼却・埋め立てごみの削減

  不用品をリユースするための拠点施設に、皆が持ち込むと共に欲しい物があれば無料で持ち帰れる。

 

・ゴミ回収車は運行せず、生ごみ以外のごみを、ごみステーションに各自で持ち込んでもらう。

(住民にごみ処理に対する関心を持ってもらうため)

 ごみステーションは年末年始を除き、毎日7時半から14時まで受入を行っており分別指導も行っている。

 

・ごみは34分別されており、分別することにより再資源化され、どのように活用されるか明示し意識の高揚を

  図っている。

 

・スタートから今日まで町職員が自治会に出向き、住民に対する説明や意識の高揚に繰り返し努めてきた。

 

・ごみステーションやリユース推進拠点「くるくるショップ」の運営には、広く人材の参画が図られている。

 (NPO、シルバー人材センター)

 

 

 

 

 馬路村は、高知市から海岸線を東に1時間20分、そして山と山との渓谷を流れる安田川沿いに走る1

車線道路にて、四国山脈へ向かって30分程に位置している。失礼ではあるが、この先に人が住む地域

があるのかと疑うような谷間の奥の山間で、上勝町以上に交通が不便で平地のない山肌に点在する村

である。人口1,077人、面165,52平方km、高齢化率35,4%、平成の大合併においても、高知県の合併

しない6村の1つである。

 

 馬路村は林業で栄えた村であり、国有林を管理する2つの営林署のもとで、ほとんどの村人が林業で

生計を立てていたが、営林署の閉鎖により、村は存亡の危機を向えた。村にあった唯一の換金作物「

柚子」を、農協の指導のもと本格的に栽培を始めたのが昭和40年頃であった。しかし生産者の高齢

化で、見栄えのする柚子球があまり収穫できなかったため、柚子の加工品販売を考案し売り先開拓に

取り組み始めたのが昭和55年頃、思うように売れないなかでも日本各地での販促活動を繰り返して

10年、努力が実り商品が売れ始めた。

 

 現在では、柚子を使った開発商品は20種を超え、年間売上高は30億という地域を支える産業に成長

し、生産・加工・販売と多くの雇用を創出している。

 

◎成功の信念、ポイント

・食するものは、おいしくて安全でなければならない。

・地域の資源を活かしての商品づくり。

・村のイメージをセットにした商品づくり

・「いいものは必ず売れる」と確信できる商品づくり

 確信のもとでの、努力と粘りの販売活動。

・お客様との良き関係の構築

・失敗を恐れず、どこよりも先に、どこよりも粘り強く継続する。

 

 

 

総 括

 

    地域ビジネスや地域づくりの資源は、地域の足元に必ずある。

    地域や地域の資源に、住民や仕掛人が誇りと自信を持つこと。

    行政や農協等が危機感を持ち一体となって取り組んでおり、住民からも強い信頼を得ている。

    住民を積極的に動かしうる信念を持った仕掛人(プロデューサー)がおり、そのもとでの人材育成が

出来ている。

    地域産業振興が地域づくりに活かされ、地域の魅力が高まり交流人口が拡大し、雇用の場の確保

に繋がっている。

また活躍できる場を求め、多くの若者が全国からIターン者として定住されている。