一般質問 平成21年12月

 

議席番号14番、森本富夫でございます。

 

  議長のお許しを得まして、通告に基づき市長にお伺いすると共に、ご提案を申し上げます。

 

 

 

 1点目、西紀ダム建設推進についてお伺い致します。

 

  西紀ダムは、旧西紀町栗柄地区内を流れる「滝の尻川」に、生活貯水池として建設しようとするものであります。

  このダムにより、洪水調整、水道水の確保を行うと共に、農業用水の安定化および河川環境保全のための流量を、安定確保しようとするものであります。

 

まず、必要性を述べさせて頂きたい。

治水であります。市民の皆様や、議員の皆様の中には、このダムが西紀中簡易水道の、水源目的としてのみ建設されようとしていると、誤解されている方もおられますが、けっしてそうでは無く、大きな治水目的があります。

  滝の尻川は、奥深い谷を流れ出る勾配を有する河川であり、昔から洪水時における増水には、地元住民の皆様の恐怖の的であったとのことです。昭和589月の台風10号による洪水時には、ダム建設地から現在の市営斎場にかけては、一面水の中へと、冠水したのです。

  また、栗柄地内三方点より栗柄峠に沿って、まさに急勾配にて春日町へと流れ下って行きます。そして春日町へと流れ下った水により、峠ふもとより、竹田川との合流地点までの広範囲で氾濫し、家宅や農地、また各施設にて、多くの被害を出しました。それ以後も、春日町側の滝の尻川は、平成16年度も含め、何度となく氾濫を繰り返しております。

  また、何年かに一度は渇水に見舞われ、農業用水もままならず、平成6年には農作物に多くの被害が出たこともあります。

  西紀ダムを完成させ、滝の尻川の流量を安定させることは、建設地元の栗柄地区を始め、度重なる洪水や渇水に見舞われている丹波市春日町の、滝の尻川沿いの皆様にとっても、長年の悲願であることをまずご理解頂きたいと思います。

 

 

  続いて利水について、

旧西紀町における上水道の沿革でありますが、旧西紀町に上水道が初めて敷設されたのは、昭和29年であります。それは、自前の上水道では無く、篠山町営上水道が岡野地区に給水されるにあたり、南河内村(東・西木之部・川西以外)及び、北河内村の一部4集落に延長敷設頂き、給水が開始されました。南河内地区で給水を受けられていなかった東・西木之部が、丹南町大山簡易水道から、念願の給水を受けることが出来たのは昭和46年。そして、昭和51年、現在の栗柄水源の確保により、西紀中地区簡易水道事業として、西紀中地区における上水道の給水を開始することが出来ました。

  旧西紀町における水道行政は、町土の70%を山林が占め、美しく、綺麗な自然の水を得ながらも、その有効な水源確保と活用が出来ず、他町からの給水に頼らざるを得ず、水道行政の1本化は、長年の懸案でありました。

  小坂地内の佐仲ダム構築に伴う、四王寺池改修による水源確保により、昭和62年、現在の西紀中簡易水道事業が、完了を見ることが出来たのです。

 

 

  以上の様に、旧西紀町には、大きな水源が無く、自前の上水道を全町に普及するまでには、水資源確保や高低差解消には、行政担当者の多くの努力、そして、水源地地元の皆様のご理解と、ご協力のもと、栗柄地下水水源、また、小坂地区の四王寺湖沼水水源の確保により、旧西紀町の中地区、南地区におよぶ、西紀中簡易水道事業が、安定給水できるように成ったのです。

  しかし昭和60年代に入り、宅地開発による転入者の増加や企業の進出、高速道路のサービスエリアへの給水、また、下水道整備による水需要の増加により、水源の許可水量では、賄いきれなくなってしまいました。

  四王寺水源は地上湖沼水であり、際立った取水増は出来ず、不足分は栗柄予備水源を含め、栗柄地下水(浅井戸)水源に、頼らざるを得ない状況となりました。平成20年度の状況を見てみると、日平均取水量89158%519、日最大取水量1,57862%981を、栗柄地下水水源に依存しています。その結果、周辺のお宅では、井戸が枯れ上がったり、地下水位が1m以上下がったりしております。また夏場には近くを流れる宮田川支流では、まったく水が流れず、農地を潤す水を確保出来ない状態となっているのが現実です。

つまり、西紀中簡易水道事業エリアにおいて、最も高所の栗柄地区の地下水や河川の伏流水を、3,655人の実績給水人口の、6割の水を安定供給しながら、水源地元の皆様においては、上水道以外の生活用水や農業用水において、長きにわたり、多大なご迷惑をお掛けしているのであります。

 

  ダム建設により、計画給水量に見合う水源の確保、そして、安心・安全なおいしい水の安定供給、そのことが、事業エリア内全ての住民の願いであると共に、栗柄地区住民の皆様への、迷惑を解決する最良の方策であると、旧西紀町時代に判断され合併を経て、現在に至っているものであります。

以上、治水・利水の十分な必要性のもと、

洪水調節(滝の尻川の洪水防御)

流水の正常な機能の維持

水道用水の供給(篠山市:1,000?/)

農業用水の確保

を目的とし、平成4年度から予備調査を開始し、平成6年度に、国の生活貯水池整備事業の事業採択を受け、建設事業に着手し、平成15年度には、用地買収も完了し、平成16年度から付替道路工事に着手されたものであります。

 

  みくまりダムより1年遅れの着手であるものの、当初予定では、平成23年度完成予定でありましたが、保安林解除等に時間を要し、事業は遅々として進まず、現在の予定では、平成25年度事業完了予定と遅れて来ています。遅々として進まない事業への対応と、収用後、長年放置され、ここを格好の住まいとする鹿等の有害鳥獣対策に、栗柄自治会関係者始め、近隣農家の皆様の心痛は、まさに限度を超えようとしています。

  また、篠山市としても、平成12年度の県との建設基本協定に基づくダム負担金を始め、ダム完成を前提とした栗柄浄水場の改良・拡張工事を始め、当初計画どおりに送水・配水施設の整備を進め、14億円にものぼる多額の投資を行って来ています。

 

  丹波県民局丹波土木事務所公園ダム課によりますと、20年度予算の繰越し、約9,000万、21年度予算約5,000万による工事発注を、保安林解除が完了する、今年度末に行いたいとの事ではありますが、本体工事は、まだまだ先のことです。

 

  新政権が打ち出しております「ダム不要論」に近い、ダム事業見直しにより、道府県が実施しているダム事業についても、中止・休止や再検討がされることは避けられません。事実、西紀ダムより先行している朝来市の与布土ダム本体工事において、兵庫県は、国土交通省から「来年度予算はどうなるか分からない」との説明を受けたとして、9月に予定されていた本体工事の入札を、当分延期致しました。

 

  西紀ダムは、県事業ではありますが、生活貯水池整備事業として、篠山市負担分4.6%を除いた半分を、国が予算付けしてくることになっております。

つまり、国の予算付けが無ければ、事業は事実上中止せざるを得ないのです。

  今、事業が中止となれば、西紀中簡易水道事業、また、ダム建設地の栗柄地区においては、多大なる損害と混乱が生じます。

 

  西紀中水道事業を含む上水道事業の責任者は、市長であり、栗柄地区の皆様は長期にわたり、多くの犠牲を強いられながらも、貴重な用地を提供頂いた善良なる協力者であります。

 

  前原国土交通大臣の、ダム事業に関するコメントは「道府県が実施している87のダム事業の、平成21年度における事業の進め方については、各道府県知事のご判断を尊重する」とあります。ダム事業の責任者として、西紀ダムの必要性を、そして建設推進を知事、また国に向け、しっかりとした取り組みを行うべきと考えますが、市長のお考えをお伺い致します。

 

 

 

 

 

 

続いて2点目の質問に移ります。

 

「篠山市職員に人事評価システムの導入を」 について市長にお伺い致します。

  篠山市の正規職員数は、平成11年の合併時686名でありました。それ以後、合併効果といわれる業務の効率化や整理・統合に伴い、定員は急激に減少しました。

  さらに、現在取り組んでいます篠山再生計画においては、平成2541日における職員数の目標数値を450人とし、更なる削減に取り組んでいかなくてはなりません。現在の事業量からの人員数は、最低限の職員数ではないかと推察いたします。

 さらに再生計画にある、正規職員の給与総額の10%削減にも、積極的にご協力いただいており、篠山再生に向けて、大きく貢献いただいております。事実、順調に推移しているとされる再生計画の進捗状況の中では、群を抜く大きな数字を示しています。

 その上に、昨年秋よりの世界同時不況により、景気低迷を受けた民間企業の給与下落に基づく人事院勧告により、年間所得が再度減額されようとしております。

 

  このような厳しい財政状況、また社会情勢の中、篠山市民の安心・安全そして福祉向上、さらには篠山再生のため、懸命のご努力をいただいております職員の皆様の、モチベーションを維持しつつ高めるためには、しっかりとした人事評価を実施し、手当や昇給、昇任に反映する制度を早期に確立し、メリハリのある処遇で士気高揚に努め、職員の皆様の頑張りに報いるべきではないでしょうか、

 

 地方分権がさけばれて久しく、今回の政権交代においても、明治以来続いてきた中央集権体制を、抜本的に改め「地域主権国家」へと転換するとあります。真の地方分権を実現するには、地方分権を支える行政体制の整備と自主財源の確保、そして地方分権を担う自治体職員の、意識改革と人材育成が大切であると考えます。

 

  合併10年が経過し、行政体制は整備されました。また今後、税源移譲により自主財源の範囲が拡大していくと考えられますが、高度化・多様化する住民ニーズに応え、地方分権を具現化するのは、わが篠山市職員の皆様の、力量に負うところが大きいのは言うまでもありません。

 

 ルールに基づく、公平で客観性・透明性の高い人事評価システムを導入することにより、執行者また人事当局は職員に対して、あるべき方向性を示すことが可能となり、また職員の皆様は、その方向に向け努力し、いたらなかった点は反省し、他者から強制されるのではなく、自律的に学び、新たな課題に挑戦していくような「やる気」のある職員を、目指すことが出来るのです。

 

  適正な人事評価を導入することにより、地方分権をしっかりと受け止め、住民と共に新しい地方自治を構築できるプロフェショナルな人材が、計画的に育成されていくものと考えます。

 

 人事評価の目的の重要な部分は、能力や仕事ぶりを的確に評価して、本人にフィードバックすることにより、職員の能力開発や人材育成に役立てるという点にあります。ただ単に、職員間に差をつけるためだけの評価とならないように十分注意をし、何のためにこの制度を導入するのかを明確に意識し、明文化し、職員の皆様に徹底したうえで、管理職以外の職員にも、今年度初めて試験的に実施されようとしている人事評価制度の、早期完全実施を行うべきと考え、取り組みに関する市長のお考えをお伺い致します。

 

 また現在は、係長昇任時のみに実施している資格試験を、管理職昇任時にも実施すべきと考えます。人事異動時の昇任発令を見れば、誰が昇任したのか分かります。しかしその人が、なぜ昇任したのか分からない場合があります。どのような能力が優れているのか、住民対応がすばらしいのか、事業の実績が上がったのか、市長の評価がよいのか、いずれにせよ、何が評価基準となっているのかが不明瞭なままでは、職員のモチベーションは上がりません。

 評価基準を公表し、資格試験を実施することは、公平で客観性があり、透明性を確保した人事評価制度には、必要不可欠であると考えます。管理職資格試験の導入についてを、かさねてお伺い致します。