議員番号14番、森本富夫でございます。

議長のお許しを得まして、通告に基づき

1.出資法人の課題と今後の方向性について

2.農村景観保全運動の展開を

3.学校適正配置の進め方について

以上3点、市長・教育長にお伺いすると共に、ご提案申し上げます。

1点目、出資法人の課題と今後の方向性について

平成2011月、篠山再生計画が決定されました。昨年2月に就任されてより「篠山再生必ずやります」と、政治生命を掛けてこられた酒井市長の、力強いリーダーシップのもと「篠山再生計画」が、市民の皆様にお示しできたことは、非常に喜ばしく、最大の行政課題である財政再建団体回避に向けて、市民・行政・職員・議会が、地域力の向上に努めながら、財政健全化に向けて、一致協力して取り組んでいくことを再度認識しているところであります。

 ご案内のとおり、地方自治体の財政健全度を測る四指標、実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率がありますが、さらに、地方公共団体財政健全化法により、健全化判断比率等の公表等に関する規定が施行され、平成19年度決算から適用されることとなり、過日、私達も報告を受けたところであります。これに伴って、健全化判断比率の1つである将来負担比率には、地方公社、第3セクターの負債・債務のうち、一定部分が一般会計等の負担見込額として算入されることとされており、その算定を通じて、個々の地方公社や第3セクターの経営状況が明らかになるようになりました。

つまり、各地方公共団体において、一般会計・特別会計以外にも、多額の債務を抱えたり、地方公共団体が損失補償契約を締結している地方公社や、第3セクターがあるか無いかが表面化し、地方公共団体の財政健全化に大きく関わってくるようになりました。

 マスコミ等でよく話題となります、大阪市の第3セクター、「ワールドトレードセンタービル」の527億の損失補償債務などは、まるで他国のことのように思っていた私達でありますが、篠山市においても最近、経営困難に直面している第3セクターが表面化するなど、決して他人事では無いのです。

 第3セクターは、複雑、高度化する市民ニーズに的確に対応するため、民間の人材、経営のノウハウ等を活用することで、市が直接事業を実施するよりも、より迅速に効率的で柔軟なサービス提供が可能と判断され、設立に参画しその活用を図ってきているものであります。行政機能の補完・代替・支援の役割を担っていただき、行政施策と密接に連携させながら、市民サービスの維持や向上、産業の振興などに一定の役割を果たして来たものであります。

しかしながら、規制緩和の進展や、NPO法人などによる公共サービスの担い手の拡大など、社会経済情勢の変化の中で、第3セクターそのもののあり方が問われていると共に、一層の経営健全化に向けた取り組みが、強く求められております。

篠山市においても、市の出資する5法人(内3法人が3セク)を有しており、こうした現状を踏まえ、第3セクター本来の設立趣旨及び運営の基本に立ち返り、

(1)公共性・公益性の視点

  「行政機能の補完」という点から、法人の設立目的が既に達成されていないか、あるいは主たる事業が民間事業者等の提供で十分確保できるのではないか

(2)効率的・効果的な事業の視点

   事業コスト縮減の取組み状況や事業内容等が、市民ニーズに合致し、且つ、市民サービスの向上につながっているのか

(3)独立した経営体としての視点

第3セクターは、独立した事業主体であり、その経営は当該第3セクターの、自助努力によって行われているのか

等を検証すると共に、経営内容も評価し、問題があれば経営改善計画を策定し、抜本的見直しをはかる、そして広く情報を公開する、等のルールづくりが大切かと考えます。

 以上を鑑み、

 〇篠山市出資法人検討報告書によりますと、各出資法人とも多くの課題や問題点があるようですが、市長はどのように認識しておられるのか

 〇そして、それらの問題点をどのように解決していかれるおつもりなのか、私は出来うる法人は、完全民営化も選択の1つと考えますが、各出資法人の今後の方向性をどう考えておられるのか

〇最後に、今までは業務委託や指定管理ありきの出資法人でありましたが、今後は、専門分野外の業務委託や指定管理においては、競争性を導入しながら、透明性の確保に努めなくてはならないと考えますが、市長は、どの様にお考えなのかお伺い致します。

 

続きまして2点目、農村景観保全運動の展開について、お伺いを致します。

私たちが誇る丹波篠山には、多くの観光の皆様がお越しいただいており、一説には年間300万人とも言われております。この数字は延べ数字あるとしても、年間100万人程度の交流人口が、篠山へ来られていると考えます。

代表的な秋の味覚まつり時には、観光客の多さに驚かされます。幅員6mの本通りに人があふれ、普通には歩けません。また平日であっても、観光客を見受けない日はありません。丹波市の議員さんと話をすると、皆がみな驚かれ、うらやましがられ、仕掛けは・ヒントをと問われます。

丹波市の場合、近畿自動車春日インターより和田山への連絡道の開通後、観光客は逆に減少したのではないかと、言われております。

私は先日、篠山城あとに妻と一緒に上がってみました。そこには、それはそれは素晴らしい景観が魅了してくれました。私たちのふるさと、丹波篠山を囲む少しかすんだ遠くの山々、そしてその手前には幾重にも山々が織り成し、今を盛りと美しい紅葉を見せてくれております。その裾野には緑と実り多き里山、そして整然と美しく広がる農地、丹波龍がかっ歩していた流れを受け継ぐ篠山川、そして眼下に広がる歴史的な町並み、しばらくは見とれてしまい、まるで時が止まったようにも感じられました。

余分な物は何もない普通の風景、そこにあるのは、先人たちが生業としてきた日常生活としての風景、この風景こそが、篠山にお越しいただく皆様に安らぎを与える風景、河合雅雄先生のお言葉をお借りすれば「日本の原風景」であるのだと感じました。

篠山らしい空間や風景は、建築造形物だけでなく、山々の稜線、里山、田園風景、水辺、道などが一体となって構成されており、独特の自然と長い歴史の中で培われた芸術的とも言える地域資源であります。この篠山の景観のよさを将来に残していくことが、私たちの責務であり、また地域活性化への1つの道であると考えます。

大切なこの地域資源を守り続けてきた、そして今後も守り続けていけるのは行政ではなく、篠山市民お1人お1人であることを、市長をはじめ私たちは、十分に認識する必要があると思います。

田園風景で見てみると、各農地所有者・耕作者の皆様は、関係するケイハン等を熱心に草刈りいただいております。

更に、まちづくり部担当部署の頭の下がる熱心な指導により、農村自治会において取り組んでおります、農地・水・環境保全向上活動では、自治会総出にて市・県・土地改良区等の共有地の草刈り等をお世話になり、景観保全に取り組んでいただいております。

しかしながら、市道・県道・河川の延長が長く、また法面が広い自治会も多くあります。また不在地主所有の遊休農地の無断での草刈り等の根拠等、多くの困難があることは事実です。市道の草刈りについては、市はしておらず、県道の草刈りについては法方から1mのみ、それも年2回であったのが年1回のみ、河川は若干の支援金のみ、そのような中でも、多くの自治会は、熱心に景観保全に取り組んでいただいておりますが、ボランティアには限度があるのです。

 私は、今取り組んでいただいております景観保全活動を、今後も続けていただき、遊休農地を含めた自治会全域、また市内全域の取り組みとすべき方策を、検討・導入すべきと考えます。

 国の景観法に基づき篠山市も景観行政団体となり、平成21年度には、篠山市景観条例を制定する予定と伺っております。各自治会と景観協定を結び、地域景観保全を力強く支援すると共に、自治会単位で仮称「農村景観保全コンテスト」等を実施し、優秀な自治会は、市長が表彰し励みにしてもらう農村景観保全運動の展開を提案いたします。

 400年祭を迎える篠山市、雑草の繁茂ゼロの美しい農村景観で多くの交流者をお迎えいたしましょう。市長のお考えをお伺いいたします。

 

 

続きまして3点目、学校適正配置等の進め方について、教育長にお伺いいたします。

 篠山市立小学校及び中学校において、魅力ある学校づくりを推進し、より充実した学校教育の実現を図ると共に、学校の適正規模と配置にかかる具体的な方策を検討することを目的とした、篠山市立小中学校適正配置等審議会が、9月市議会定例会の条例可決を受け設置されました。

 1030日の初会議以来、1114日・1126日と、積極的・精力的に審議をおこなっていただいておりますことに、心からの敬意を表したいと思います。また松尾教育部長を始め、事務局を務められる教育総務課の皆様方のご努力に感謝申し上げると共に、今後ともしっかりとしたサポートに務めていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

 ご案内の通りこの条例は、委員会否決・本会議可決という大揺れでのスタートでありました。そのことは、この小中学校適正配置等審議会にて検討いただく内容に対し、保護者をはじめ多くの皆様の大きな関心が寄せられていると考えます。

 私なりに小中学校の統廃合を考えてみますと、3つの大きな課題があると考えます。

 まず1つには、過小規模校の一律な統廃合が本当に子供の教育にプラスなのか、もしかしたらマイナスではないのかを多くの面から検討しなくてはなりません。多くの同級生と接することによるメリットもありますが、通学区域の広がりによる通学の困難、教育上のきめ細かい指導の低下等、新たな行政的な取り組みが必要な事も発生してくると思われます。酒井市長がよく話される三田市の母子小学校のように、僻地の小規模校でありながら、子供の個性を生かし、地域に根ざした教育を行う、まさに日本の教育の原点を見るような小学校もあるのです。

2つには、学校は単に子供の教育にとどまらず、その地域にとって大いなる役割を持っています。言い換えれば「地域の核」的な役割を担っています。そこに学校があるから、若い夫婦が地域に残って子育てをしてくれる。子供の声は地域を元気にしてくれます。まさに地域を維持するために欠かせない公共施設である。安易な統廃合は集落やコミュニティーの崩壊、また地域社会の荒廃を招く恐れがあります。

3つ目には、以上述べたように学校の統廃合は、地域の子育てや地域の存続に深く関わることだけに、行政が一方的に進めてはならず、徹底した住民合意が欠かせないと考えます。子供たちもまた地域住民であり、かつ最大の当事者であります。子供たちの考えや意見を聞く必要があります。また学校の教職員の方々は、教育の専門家であります。学校統廃合が子供の教育にどのような影響を与えるかの意見も聞く必要があると考えます。

平成14年度の教育基本構想において、学校統廃合計画を立てていたにも関わらず、地域住民の理解と合意が得られず今日を迎えた反省をふまえ、審議会の「答申」また教育委員会の「篠山市学校教育改革5ヵ年・10ヵ年実施計画」策定にあたり、保護者・地域住民の意見を聴取すると共に、関係者の理解と合意を全力で求めることを、明確化すべきと考えますが、教育長のお考えをお問いしこの場での質問を終わります。ありがとうございました。