平成21年9月議会 一般質問 9月15日
議席番号14番、森本富夫でございます。
議長のお許しを得まして、通告に基づき以下3点を、市長・教育長にお伺いすると共に、ご提案申し上げます。
まず1点目、指定管理者制度と民営化について
2003年の地方自治法改正により創設された制度であり、全国の自治体において、積極的導入が図られているこの制度の導入目的は「多様化する住民ニーズに、より効果的、効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図ると共に、経費の節減を図ることを目的とするもの」と、されております。
即ち、公の施設の管理運営を民間に開放することによって、民間の手法や経営感覚を活かして、多様化する住民ニーズに、より効果的・効率的に対応し、住民に対しては、公の施設のサービスの質の向上を図ると共に、地方自治体にとっては、管理運営の効率化、経費節減を図ろうとするものである。さらに民間事業者にとっては、新たな事業への参入機会の拡大といった効果が期待されているものであります。
全国的に見てみると、スポーツ施設・美術館・給食センター・集会所・図書館・社会福祉施設・病院・上下水道施設・公営住宅・各種教育施設・都市公園や自然公園等、本当に直営でなくていいのであろうか、と考えてしまう施設も含め、実に様々な施設に指定管理者制度が導入され、また導入されようとしています。
このことは、行政の役割の転換や、社会システムの再編を余儀なくされており、たとえ、今回政権が変わっても、官から民への事業移管「民間でできることは、できるだけ民間に委ねる」流れは、変わることなく進めることが必要であると考えます。
篠山市においても現在、77施設において指定管理者制度が導入され、公共的団体や出資法人・民間等を指定し、管理運営をお願いし、行政のスリム化に努めているところであります。さらに今後においても
※直営施設についても、篠山再生計画等を踏まえ、個別法令で制限があるものを除き導入検討する。とし更なる積極的な制度の導入の検討を行うとあります。
残されております市直営の主な施設、中央図書館・各学校給食センター・篠山総合スポーツセンター・清掃センター・斎場・各体育館・各グランド等への制度導入を、しっかりと検討していくべきと考えますが、残された施設への制度導入に対し、市長はどのようにお考えなのかお伺い致します。しかしながら残された施設は市民サービスに直結するものばかり、経費の削減のみを目的とした安易な制度導入ではなく、しっかりとした市民サービスの提供と、安心、安全の、また雇用の確保をしっかりと考慮し、取り組む必要があることを申し添えておきます。
また再生計画に沿って進められている、研修センター16館の地元地域への移譲のように、地元自治会等が指定管理を受けている集会所や消防センター、また自治会の公民館的施設は、早急にあり方を検討し、出来るものから地元に移譲すべきと考えます。
そして、9月1日の議員全員協議会に説明頂き、12月議会に議会提案されようとしている、市が設置するデイサービスセンター施設等の、民営化(移譲等)についても歓迎するものであるが、説明資料にある期待される効果には「直営時における、市一般財源の持ち出しが不要となり、さらに今後、施設の改修修繕にかかる費用についても、市の負担がなくなり、大きな財政効果がある」とあります。大きな財政効果を評価した民営化にはいささか不安を覚えます。
建物は無償譲渡、土地は20年間の事業用定期借地権契約、市が負担すべき大きな負担を民間がしながらも、サービスを低下させず、維持できるのかを心配するところであり、たとえ民営化移行後も、一定の指導監督は必要ではないでしょうか。今後、今回のような民営化(移譲等)の対象とする施設やその進め方についても、市長のお考えをお伺い致します。
続きまして介護施設入居待機者減少に向けて、を質問致します。
最近まで、私の家族や近くに住む親族には、介護保険による、要支援や要介護の認定を受ける必要が生じる事無く、過ごしてきました。しかしながら、今年に入り2軒の知人から切実な相談を頂きました。
自宅で介護をしていた高齢なおばあさんが、自宅で転倒し、入院治療の間に認知症が進むと共に、足腰の機能が一気に弱り寝たきりとなられた。広くない自宅で介護することがどうにも出来ず、施設サービスを受けようと思うのだが、空施設が無く入所が出来ない。
また、高齢のおじいさんを自宅で介護していたが、家族が疲れてしまい家族崩壊を防ぐために、おじいさんの施設入所を希望しているが、いくら待っても順番が回って来ない。
2軒共に、自宅で長らく献身的に介護されて来られた御家族であり、聞かせて頂く介護の内容には、まさに、頭の下がる思いでありました。
篠山市は、平成12年の介護保険導入にあたり、モデル市として今日まで、担当部署を中心に積極的に取り組まれ、他市と比較してもサービスの内容は充実しており、また各事業所との連絡・協調も、他市からの模範となっていることに、敬意を表するものであります。
市長は平成21年度市政執行方針において、篠山市は特別養護老人ホームや、老人保健施設の施設サービスが充実しており、介護施設系の整備は、計画する必要がありませんと明言されておられ、前田部長も、この本会議場における質疑の過程においての私の質問に対し、必要なことは施設サービスの入所者を増やす事ではなく、住み慣れた地域、住み慣れた自宅での介護が必要であり、要介護者も家族の方もそれを望んでいると、声高らかに答弁いただきました。
しかしそれは理想です。21年7月末現在篠山市には、要介護(1)293人、要介護(2)331人、要介護(3)339人、要介護(4)256人、要介護(5)176人 合計1,395人の要介護認定者がおられます。
しかし、篠山市内の施設サービスは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設を合計しても484床、基準は分かりませんが、現実に入所待ちの希望者は、常に200人弱おられると聞きます。複数の施設に希望しておられる方があり、数字的に多くなっているとのことではありますが、高齢化が進む中減ることは無く、増加することを危惧いたします。
また、希望者の内には、1人住まいや、老老介護、また、介護疲れによる家族崩壊等、大変な状況の家庭があるのは事実であります。市長はこのような現状を、どのように認識されているのでしょうか。
施設サービス施設の新築や増床には、多額の市負担が関係してくると思います。また掛け金が、21年3月時点では、県下、下から5番であることは、非常に喜ばしいことではありますが、長期的視野のもと、介護施設入所待機者減少へ向けての、しっかりとした取り組みが必要ではと考え、市長のお考えをお伺い致します。また、施設サービスではなく、住み慣れた地域や自宅で、可能な限り暮らし続けることが可能となる、地域密着型サービスの整備を推進し、旧町ごとの整備をめざして充実を図るとあるが、本年度の進捗状況はどうなのか、また本年度に成果は得られるのか、合わせてお伺い致します。
続きまして「九輪草」「現生貝エビ」保護への取り組みを教育長にお伺い致します。
皆様よくご存知と思いますが、九輪草について少し触れておきます。名前:クリンソウ、科名:サクラ草科、花の時期:5~6月、草丈:40~80cm、生育地:山地の沢沿いなどの湿地、花は:紫・ピンクまたは白色の花が段々に輪生し、茎を伸ばしながら下から段になって、次々と咲く。輪生する花の、幾段にもなった様子が、お寺の五重の塔などの頂上にある柱の飾り「九輪」の様であるので、クリンソウと名付けられたとのこと。また、九輪草は花が美しく園芸用に人気があり、主に業者の盗掘で激減、兵庫県では、絶滅危惧種Aランクに指定しています。
絶滅危惧種に指定されている、九輪草の全国屈指の大群落が、多紀連山で発見された意義は大きく、学術的にも非常に貴重な篠山の財産として、子孫に残す最善の努力をしなければならないと考えます。発見されて2年、発見者の皆様や、地元住民また関係者の皆様の「クリンソウの花園を守りたい」との純粋な気持ちと、献身的ご努力により、「多紀連山のクリンソウを守る会」を設立頂き、熱心に保護、保存活動に取り組んで頂いております。私も会に入会させて頂くと共に、友人に案内いただき、群生地を見に登り、初めて見る群生地の規模と美しさに感動しました。まさに桃源郷、自然のなせる迫力に圧倒されてしまいました。
この貴重な九輪草の保護活動を、守る会の皆様にまかせきるのでは無く、教育委員会としても「九輪草の大群落」を篠山市の天然記念物として早急に指定し、篠山市をあげて守る会の皆様と共に、保護活動に取り組むべきと考えます。
次に、篠山盆地に恐竜が生息し、闊歩していた白亜紀より生き続けている、生きている化石「現生貝エビ」保護への取り組みについてであります。
皆様「貝エビ」をご存知でしょうか。エビの仲間とされ、2枚貝そっくりの貝殻の中に、エビのような体が納まっています。大きさは約8mm、形は貝、中身はエビ、不思議な生き物です。田植え後、水温にもよりますが、1週間もすると現れ、48本もある脚で水中の土の上をすばしこく、盛んに泳ぎ回ります。
この8mm程の貝エビの化石が発見されたのが、全国で6ヶ所、その1ヶ所が篠山層群であります。また現在生息が確認されているうち、化石が発見されているのは、篠山市のみであるとのことです。
今年の6月7日に、西紀南地区で行いました、篠山層群化石探索と現生貝エビ観察会では、西紀南小学校近くの水田で、現生貝エビの観察を行いました。小さな子供さんから私を含めたおじいさんまで、意外と知られていない初めて見る身近でとてもかわいい珍しい生物を、真剣に観察しました。
生きている化石「現生貝エビ」も、篠山市民に夢とロマンを与えるものであり、篠山の自然の豊かさ、水の清らかさを示すものであります。天然記念物の指定まではいかなくても、篠山市の重要な財産として位置付け、生息地の確認や生息に関する研究解明に努め、保護・活用に取組むべきと考えます。
以上「九輪草」ならびに「現生貝エビ」保護への取組みについて、教育長のお考えを伺います。