平成2412月議会 生活経済常任委員会 審査報告

NO,3

 

 

議案第73号・篠山市人権尊重のあたたかいまちづくり条例

 

 2番、生活経済常任委員会、委員長の森本でございます。

ただ今議題となりました、議案第73号「篠山市人権尊重のあたたかいまちづくり条例」についての、生活経済常任委員会審査の主な内容についてご報告致します。

 

本議案につきましては、去る1127日の本会議において、当委員会に審査付託されたものであります。

 

本条例については、あらゆる人権課題の解決に向け、市民一人ひとりが自分の人権だけでなく、他人の人権についても深く考え、すべての人が幸せを実感できる、あたたかいまちを実現する決意を表明するものであります。

 

担当部署からの説明を受けた後、審議に入り、

委員からの、

・前文にも謳われているように、日本国憲法及び本市の市民憲章、自治基本条例においても、人権尊重が規定されており、あえて条例化する必要があるのか。人権よりも人間尊重、また、権利以上に義務や道徳もある。権利を前面に出すことで却って混乱するのではないか。                

                    との質疑に対し、

当局からは、

・市民憲章や自治基本条例の中でも謳っていることに加え、市民の代表である議会の議決を得た条例を制定したいと考えている。なお、条例においては、自分自身の人権に止まらず、他人の人権、お互いの人権について尊重することを謳っている。   

との答弁があり

 

委員からの、

・第5条第1項第1号の個別の代表事例の記載について、具体的に書く必要はあるのか。

                    との質疑に対し、

当局からは、

・特定疾病患者等、隠れている課題等についても議論があったが、膨大にあることから、イメージしやすいものとして、代表的なものを取り上げた。

             との答弁があり

 

委員からの、

・あいさつの推進について、敢えて条例に含む必要があるのか。「地域のきずな」との記述もあり、敢えて入れなくてもよいのではないか。                  

との質疑に対し

当局からは、

あいさつについては、制定委員会においても、「前文に入れても良い」、「前文にはふさわしくない、条文に入れたらどうか」、「条文にも含むべきではない」等の議論の末、最終的に答申からは、あいさつや地域のきずなは除かれた。その後、市長の篠山らしさを入れたいことの思いから、「地域のきずな」「あいさつ」を条文に入れた経緯がある。何気ないあいさつが大切であり、その心遣いが互いの人間関係を円滑にしていく。互いを知ることで、知らないことから生まれる偏見を除去できる。こうしたことが、良い意味での面識社会を作り上げ、結果として災害時にも人命を守ることにつながる。あいさつと人権尊重のまちづくりは思いのほかつながりが深く、あえて条文に入れている。

との答弁があり

 

委員からの、

・第5条第1項第4号の「調査及び研究」について、現段階でどのようなことを検討されているのか。

      との質疑に対し

当局からは、

・子どもに関するものや福祉に関するもの等、篠山市には色々な計画があるが、どれもが人権尊重の視点を根底に据えて策定されている。それらの内容やさまざまな人権課題について検討・調査をするとともに、人権に関するアンケート調査の実施等を考えている。

との答弁があり

 

委員からの、

・条例制定により、どういったことが具体的に変わるのか。

                    との質疑に対し

当局からは、

・様々な人権課題の解消に向け、第5条第1項第1号から第5号に基づき、対策を立てて取り組んでいく。審議会においては、人権施策について年次報告し、政策提言をいただきながら、課題解決に向け取り組んでいくこととなる。条例制定については、議会で議決いただくことで、重みを持って推進していく大きな効果があると認識している。

との答弁があり

 

委員からの、

・理念条例の制定だけに終わってはいけないと考える。行政や審議会の取り組みだけを定める条例ではなく、どのように市民に意識を浸透させていくかが課題であると思うが、思いや手法は。

                    との質疑に対し、

当局からは、

・本市においては、30数年前から続く年2回の住民学習や秋から3月にかけて行われる各地区の人権同和教育研究大会等、市民の自主的な学習活動が実施されているが、行政としてもしっかりとサポートしていく。市と市民が一緒になって取り組みを進めていく。2回目の住民学習においては、防犯や防災、環境、福祉等、広範なテーマで取り組んでいただいているが、全てが人権を大切にするまちづくりの視点で実施されている。人の権利という狭義の意味ではなく、市民の皆さんが幸せを実感できるまちづくりに向けて取り組んでいく。             

との答弁がありました。

 

 

質疑終了後、議員間討議において、議員より、

パブリックコメント及び回答に関する結果の資料配付があった     

が、目を通す時間がない。ここまで早急に行う必要性にも疑問があることから、会期内の再審査を提案する。

                     との意見が出され、

全員の合意により、後日に再審査を行うこととなりました。

 

 

 

後日、担当部署からのパブリックコメントとその回答について説明を受けた後、審議に入り、

委員からの、

・パブリックコメントの募集については、市広報紙の発行日は決まっており、期間の設定含め、計画的に取り組んでいくべきであると考える。ドタバタと進めていくと、それだけで必要のない誤解を招く恐れもある。今後においては、条例制定までのスケジュールも考慮した上で、適切な対応を心がけられたい。

                   との質疑に対し

当局からは、

・これまで広報紙での周知が期間的に難しい場合は、HPにより周知を行ってきたが、十分な広報ができていなかった部分もあると反省している。ご指摘も踏まえ、広報紙での周知についても、充分な周知期間が確保できるよう取り組んでいきたい。

との答弁があり

 

委員からの、

・理念条例であると言われるが、人権教育や道徳教育については、家庭や学校での教育、社会教育で行っていくべきものであると考える。今後、条例に基づき、様々な施策に取り組んでいくこととなると考えるが、教育委員会との連携等について、どのように取り組んでいくのか。

      との質疑に対し

当局からは、

・人権課題の解決に向けては、これまでから人権推進課だけではなく、教育委員会や福祉部局などと連携するとともに、市民生活部内においても市民課、市民安全課、市民協働課などで、人権をキーワードとした施策を実施しており、今後も全庁的に取り組んでいく。また、人権教育と道徳教育については、重なり合う部分も多く、教育委員会と一体的に取り組んでいきたい。

との答弁があり

 

委員からの、

・パブリックコメントでも多くの意見が寄せられているが、心配されているような懸念は生じないと言い切れるのか。

                    との質疑に対し、

当局からは、

・本条例については、これまでから、具体的な人権侵犯の救済措置は対象とはしていないことから、理念条例であると説明してきた。また、責務という文言から強制に繋がるのではないかとの意見については、市の多くの条例で「市民の責務」が謳われている。これは市民の参画と協働なくして、条例に基づく施策の実施は出来ないとの考えからである。具体的に何かを強制するものではなく、市民とともに進めていく中で、市民の皆さんにも役割を担っていただきたいことから責務と記述している。市民の内心の自由を制限するものではなく、懸念されているような事は生じない。

との答弁があり

 

委員からの、

・同和対策事業特別措置法も失効する中、その復活を懸念する意見もあるが、失効前の状態に戻るようなことはないのか。

                  との質疑に対し

当局からは、

・国の同和対策事業特別措置法も失効しており、市が独自で同様の取り組みを実施することはできないと考えている。ふれあい館については、地域全体での福祉事業として展開しており、国や県費の補助をいただく中で運営している。一方、国の「人権教育・啓発に関する基本計画」においては、各人権課題に対する取り組みとして「同和問題」が明記されている。同和対策特別措置法によって全ての同和問題が解決した訳ではなく、根絶に向け、必要な施策に取り組んでいく必要があると考えている。

との答弁があり

 

委員からの、

・制定委員会において、策定経過全般の中で、特に議論されたことはあるのか。 

              との質疑に対し

当局からは、

・制定委員会において、特に配慮されたのは、前文においては可能な限り短い文章とし、読みやすく仕上げるということ及び、条文については、中学生にも理解いただけるような表記と表現になるように、心がけて作成された経緯がある。

との答弁があり

 

委員からの、

・パブリックコメント対応を含め、日程が大変タイトな状況にある。施行日も1月1日となっており、周知期間もないようなスケジュールとなっているが、周知期間がなくとも、手続き上に問題は生じないのか。 

              との質疑に対し

当局からは、

・暴力団排除条例の制定時においても、できるだけ早く施行するため周知期間は設けなかった。周知期間については、今回の本人通知制度のように、市民や八業種の方などに対する周知が必要となるような場合には、しっかりと周知期間を確保するように努めるが、本条例は理念条例であり、制定後の周知には努めていくが、施行までの一定の周知期間は必ずしも必要はないと考えている。

との答弁があり

 

委員からの、

・理念条例としながらも、パブリックコメントの回答においては「より具現化を図るための条例」という文言が使われているが、その関係性は。この条例を制定することで、現在の状況をどのようにしていきたいと考えているのか。 

      との質疑に対し、

当局からは、

既に廃止されたが、鳥取県におけるいわゆる「人権侵害救済条例」や、閣議決定がされたまま審議されずに衆議院解散となった「人権委員会設置法案」のような人権救済を規定したものがある中、この条例においては、当初から具体的な救済措置を規定しないということで「理念条例」と説明してきた。一方、市民憲章や自治基本条例において、人権尊重のまちづくりを謳っているが、どのような人権課題があり、それに対してどのように取り組んでいくのかを明示しているものではないことから、そうしたことを具現化した条例といった意味で「具現化」という表現を使っている。       

との答弁がありました。

 

 

 

以上、質疑終了後、討論はなく、採決を行いました結果、議案第73は、全員賛成で原案の通り可決するものと決定致しました。

議員各位におかれましては、生活経済常任委員会の決定どおり、ご賛同賜りますようお願い申し上げます。

 

 

なお、今回の審査におきまして、パブリックコメントの取り扱い及び説明の不備等から、再審査を行うに至りました。これは、条例内容以前の手続き部分の問題も含んでいるものであると考えます。

執行部においては、市民参画手法の一つとしてのパブリックコメントのあり方及び、議会への上程スケジュールも考慮した期間設定等の運用等、充分に検討いただき、今後の条例制定と議会上程に反映いただきますように申し添え、審査の報告とさせていただきます。